新しい食文化の獲得

私は、以前料理好きが高じて一般的な家庭料理の味に飽き足らなくなり、プロの料理人が開催する料理教室などに何年も通っていました。インド料理や日本料理や・・・

 料理は手をかけるほど美味しかったという感動体験もあり、料理するのが全くおっくうではないタイプでしたので、長年、インスタント食品には縁がありませんでした。

 お昼にお蕎麦を食べたいときは、お気に入りの乾麺を茹でて、かき揚げを作り、数種類の薬味野菜を添えるのがあたりまえでした。

パスタソースは手作りのソースをいつも冷凍庫に常備しておき、寒い冬などには雑炊や中華粥を楽しんで作っていました。

 自分で料理したものを食べるのがあたりまえの習慣でしたので、マーケットのインスタント食品売り場に立ち止まることはほとんどなく、インスタント食品を知る機会がありませんでした。

夫と一緒に暮らすようになってからも、外食に出かけるのは、コロナがなかった頃でも2~3か月に一度というくらいでした。

 そんな私もこのところの経験で、カップラーメンやレトルトカレーのおいしさとその進化に驚かされています。

 わが夫は、私の作る料理を喜んで食べてくれますが、たまにカップ麺などのインスタント食品も食べたくなるそうです。

私が抗がん剤治療で不調のときに、夫が袋入りラーメンを作ってくれましたが、「こういうラーメンってこんなに美味しかったの?」と私がいうと、「今まで生きてきて、一度も食べたことがなかったなんて信じられない」と少し呆れ顔になりました。

 私はインド料理を習っていたくらいなので、レトルトカレーを買う習慣がなく、家で食べる機会はありませんでしたが、キャンプに行ったとき、試しに朝食用にと、夫が買ってきたレトルトカレーを食べてみたら、具沢山で美味しかったので驚きました。

私が知らなかっただけで、日本のインスタント食品は目覚ましい進化を遂げていました。少し前のNHKの朝ドラでもインスタントラーメンやカップ麺の歴史にまつわるお話が展開されていました。日本の企業の開発魂は素晴らしいです。

そんなわけで、キャンプに行ったときの朝食は、今やカップ麺やレトルトカレーが定番になっています。
テントを張ってのキャンプの朝、清々しい空気を吸いながらのカップ麺やレトルトカレーのおいしさは、これはまた格別のものがあると感じています。極上の美味しさです。

このようにして、私は夫のおかげもあり、それまで全く無縁だったインスタント食文化を新たに獲得できました。