肺に転移、そして肝臓にも再発

 

2021/7/28(水)

今日は、術後の抗がん剤点滴の初日でした。

採血の結果が出る前に、主治医からのお話がありました。

早々に呼ばれたので、何か特別なお話があるのかなぁと思いながら、診察室に向かいました。

案の定、予想していたよりずっと深刻なお話でした。

実は、この2週間前に造影剤CTを撮影していましたが、ドクターはその画像を見た後、その結果を私にどう伝えるかずっと悩んでいたそうです。

慎重に言葉を選びながら、お話して下さいましたが、結論から言うと、手術した肝臓に再び小さい腫瘍がいくつか再発し、新たに両肺にも多数出て来ているとのことでした。

肝臓手術を行ったドクターには、今後肝臓にがんが再発してくるたびに、時期を見てまた手術を行っていくということを聞いていましたが、今回の結果で、今後手術を選択できる可能性はなくなり、治療は抗がん剤のみで行い、がんと共存しながらという治療方針に転換していかざるを得ないとのことでした。

「あくまでも統計上の数字ですが、ステージⅣで大腸がんが発見された患者の場合、平均余命は30ヶ月くらいです。」、とあらためて告げられました。

6月1日に肝臓の手術をしたばかりだし、今日から抗がん剤治療がスタートいうところでしたので、この時点でこれ程厳しい状況を聞くことになろうとは、想像もしていませんでした。

 

私もショックでしたが、夫の動揺もかなりのものでした。一時的な貧血症状が起きたようで、主治医が心配したため、診察室脇の簡易ベッドに少し横になりました。

後で聞いたら、滅多にないことのようですが、急なショックで緊張が起きた時など、背中から腰のあたりに瞬時に血流が集中してズキズキしてくるのが分かり、意識が遠のいていく症状になるそうです。

患者さんによっては、がんと聞いて過呼吸になる方もいるようです。

 

今後治療の方向性は、かなり変わりますが、私自身の人生設計も今一度考えてみたいと思います。今後の抗がん剤の研究開発に期待しながら、一日一日を大切に過ごしていきたいと思います。

 

優先順位をつけるとしたら、したいことは何からかなぁ?

実は、先日から、地元の観光案内人の検定の勉強を始めましたが、来年の試験は合格必勝となってしまいました。笑

変ですかね? 観光案内人として活動期間はないかもしれませんが、私の夢なので、是非とも実現したいです。

 

あとは、何でしょう?

・母の体調の都合とコロナもあり、なかなか実現出来なかったのですが、夫を私の母と姉妹と長女に紹介すること。

・まだ行ってない道南方面にキャンプに行って紅葉の写真を撮ること。

・来年コロナが収まったら、ずっと行けなかった札幌ドームに行き、Jリーグの試合を観て、地元のコンサドーレを思い切り応援すること。

・丸駒温泉などの温泉宿に泊まり、雪見酒を堪能すること。

・お気に入りのスモーキーなウイスキーを心ゆくまで味わうこと。

・新しいお菓子を作って夫に試食して貰うこと。

・いろんな本をたくさん読むこと。

・地元のカフェ巡りをして、私流のマップを作ること。

・可能だったら北欧を旅すること。

・・・などなど。

 

今思いつくのは、意外と細やかなものですね。笑

それにしても、余命宣告されて10分後にこれをメモする私は、どうなんでしょう?

能天気?

昔から困難に遭遇すると、すぐに対応策を考える癖がついてしまっています。

 

 

2021/7/29(木)

今日は元々、(肝臓)手術後の経過観察ということで、大学病院の執刀医のドクターを受診する予定になっていました。

ただ、昨日あのような結果になったことで、地元の主治医からは、「明日の受診はどうしますか?」、とあらためて聞かれていました。

夫の方から、「執刀医のドクターを受診する最後の機会になるかも知れないので」、という気持ちを聞いて、予定通り受診することにしました。

また、以前脱毛が激しくなってきた頃から「ウィッグ」を注文したいと思っていて、受診後の時間でお店に行く予約をしていたので、そういう予定もありました。

 

「あなたの場合のように、最初手術ができないと判断されたステージⅣの患者に抗がん剤を投与して、手術で切除するまでたどり着いた例は少ないです。強力な抗がん剤を使えたことも良かった。人によっては副作用が強く出るため、効果が期待できても使えない場合がありますが、あなたの場合は副作用が少ないのに抗がん剤が効いたので、今後も期待していいと思います。」、と。

 

「手術前のCTでは肺がんは見えてなかったので、手術後の1~2カ月の間に出てきたと思いますが、その分それまでの抗がん剤が効いていたんでしょう。もし手術前に肺がんを確認していたら手術することはなかった。」、と。

私は、「手術できて本当に良かったです。」、と伝えました。

 

 

昨日聞いた「平均余命30カ月」の話に対して、夫はショックだったことを言いながらも、「素人考えですが、平均余命というのは、たとえば昨年がんで死亡した人が平均何年生きられたかのデータがあった場合、仮に10年生きてきた人は10年前からの治療を受けてきた結果であり、5年生きてきた人は5年前からの治療を受けてきた結果なので、抗がん剤もその頃の薬を利用してきた結果になる。これから最新の抗がん剤治療を受けていく人の平均余命は必ず過去のデータより良くなるはずと思います。」と少しでもポジティブに考えようとしていることを伝えました。

 

これに対してドクターは、「平均余命というのは平均寿命と似たようなもので、今日本人の平均寿命は女性で85歳くらいと思いますが、85歳になったら皆死ぬわけではない。100歳以上生きる人もいれば、若くして亡くなる人もいる。統計というのはそういうアバウトなところがあり、あくまで大勢のデータの結果なので、そんなふうに考えた方がいいですよ。」と言ってくれました。

 

「肺に転移しても元は大腸がん。がんによる生存率や死亡率も大腸がんの数値を見ます。元々肺にできたがん細胞とは特質が違うからです。欧米は肉・脂の多い食生活の関係で大腸がんの患者が多く、そのため大腸の抗がん剤開発に多額のお金をかけて研究してるので、乳がんと同じく進歩が速く、どんどん良い薬が出てきている。その成果は他の臓器への治療にも活用されています。今後新しい抗がん剤も出てきます。抗がん剤効きますよ。」、と。

 

もし、昨日だけの話で終わっていれば、これから先の毎日を悲観的に過ごしていくところでしたが、今日の受診で少し元気をもらって帰ってきました。

 

そのあと、予定通りウィッグのお店に行きました。

病気で脱毛した患者の為にそのニーズに対応するタイプがたくさんありました。

私はいくつか試着して、自然なウェーブのかろやかなものを選びました。

夫は「20歳若返ったね。」と笑いながら言ってくれました。

高価なものなので、月払いにして必要な期間だけレンタルする選択もありましたが、私は最初から買うつもりで来ていて、夫にも確認したら「買っておけば、80、90になっても使えるので歳取らないんじゃない?」と冗談みたいに言うので、それもそうだねと予定通り購入を決め、多少恥ずかしかったですが、ウィッグを着けて帰宅してきました。

今日は、執刀医受診とウィッグのおかげでだいぶ元気になりました。