立花隆思索ドキュメント「がん 生と死の謎に挑む」を見て

 

今年4月30日に亡くなられた立花隆さんの追悼番組で、6月30日に放送され録画はしていましたが、しばらくは見る気持ちになれず、自分の気持ちが整ってきた昨日ようやく見ることができました。

2009年に放送された番組で、その2年前に膀胱がんを患った立花隆さんが、それをきっかけに世界の最前線の研究者達を訪ね、「人類はなぜ、がんという病を克服できないのか?」という視点で、がんの正体を追い求め取材してきた記録をNHKが映像にまとめたものでした。

1971年、ニクソン大統領がいわゆる「ガン戦争」を宣言したことをきっかけに、莫大な予算をかけ、ガンを治す化学物質を求めて100万種類もの薬剤の探索が行われたとのこと。

番組が放送された2009年は、それからすでに40年近く経ってはいましたが、その時点でもがんが発症するメカニズムがやっと分かってきただけで、治療という段階までには進んでおらず、なかなか克服できない難しい病気であるという認識にとどまっていたようでした。

また、そこで語られていた、「ガン細胞は通常細胞と極めてよく似ていて、機械や薬では判別できず、いまでも病理医が経験を頼りに判別している。」という言葉には大変驚かされました。確かに画面に映し出されたがん細胞と正常細胞の写真を見比べても、素人の私にはどこがガン細胞の部分なのかまったく分かりませんでした。

それから12年経った現在、私の場合もガンの部位を切除する手術が行われたわけですが、術後に病理検査に廻して診断を待ち、その後の主治医との面談でも、「こういう結果でした」、とそこに記載された内容を告げるという状況だったことを思い出しました。

 

番組を見終わって思ったことは、

もし、私自身が今回の治療や手術を経験する前に、12年前の放送だということを知らずにこの番組を途中から見ていたとしたら、おそらく今まで以上にガンの恐怖を感じていたことでしょう。

ただ、実際には治療を進める過程で、多くの医師から最近の抗がん剤の進歩の話はお聞きしてきて、本当にこのわずか10年余りの間で、抗がん剤治療については、薬の面でも治療方法の面でも目覚ましい進歩があったように感じました。

 

例えば、競泳の池江璃花子選手が「急性リンパ性」白血病という血液のガンを発症しましたが、先日、日本新記録を更新するほどまで回復されてきています。

かつては不治の病と言われ、昔女優の夏目雅子さんが「急性骨髄性」という白血病で急逝されたこともあり、ドラマなどでも悲劇の主人公が天国に旅立つようなシーンが涙を誘っていました。骨髄移植しないと治らないとか、移植可能な骨髄を探すのが大変とかの話が、病気の内容を良く知らない私の元にも聞こえてきました。

それが、いつの間にか私が知らなかった間に、かつての認識を覆すほどに白血病の治療は進歩してきたようです。

私自身も、手術後の病理検査の結果で、手術前の抗がん剤治療により3分の2以上ものがん細胞が壊死していたと聞きました。

私が投与を受けた4種類の抗がん剤(イリノテカン、オキサルプラチン、アバスチン、カペシタビン)を組み合わせて治療する方法は、先日の主治医との話ではまだほんの4~5年前から始まった化学療法のようで、今回私がその治療を受けられたことは、本当に幸運と言わざるを得ません。

 

6月1日に転移性肝臓がん摘出手術を受けましたが、再発予防の為、今月末位から抗がん剤治療を再開することになっています。抗がん剤の進歩もあって、術後の採血データでも、腫瘍マーカ(CEACA19-9)の数値が劇的に下がるなどの結果が出ているようです。

今後、抗がん剤治療の副作用等の関連もありますが、主治医のドクターからは、「うまくいけば根治の可能性もある」との説明を受けています。

 

昨年秋の整形の手術を受けた後、大腸がん発症と肝臓転移のステージⅣとなりましたが、その折々で奇跡的に一番良い治療を受けられたと感謝しています。

これからも、主治医のドクターと相談しながらその時その時の最善と思われる治療していきたいものです。こうしている内にも、また新しい薬や治療法ができてくるかもしれませんので、希望をもって心身の免疫力を蓄えていきたいと思っています。

皆様のブログを読ませて頂いて、毎日元気を頂いています。ありがとうございます。